税務証拠資料となるための要件②
納税者側が、収集・保管する資料が、税務証拠資料として適合するには、次のような要件を備えていなくてはならないと思われます。
必要十分性
納税者が、課税要件事実を証明するために、質的にも量的にも必要十分な証拠資料を収集・保管しておく必要があります。ある課税事実が一つだけの証拠資料によって証明されることもありますが、多くの場合は、様々な証拠資料により、相互に補完しながら総合的に証明されるものだからです。
税務証拠資料となるための要件①
納税者側が、収集・保管する資料が、税務証拠資料として適合するには、次のような要件を備えていなくてはならないと思われます。
真実性
まず第一に、その資料が、課税事実を証明するための真実なものでなくてはなりません。仮装された資料や不正計算のために作成された資料は納税者側の税務証拠資料とはなりません。むしろ、仮装または不正な資料は、課税庁側にとって重加算税を賦課するための重要な税務証拠資料となることがあります。
税務証拠資料の整備
税務証拠資料とは、課税要件事実を客観的に証明する証拠資料をいます。税務証拠資料には、納税者が収集・作成した資料と、課税庁が収集・作成した資料とがあります。それぞれの税務証拠資料は、入手場所、形態、収集手段などにより、証拠能力に差がありますが、一般には相互に補完しながら総合的に課税要件を明らかにしていくものです。
税務証拠資料としては、真実性、必要十分性、適時性、秩序性、保存要件などが求められます。保存期間は、例外はありますが、原則として7年間です。
客観的というのが証拠として非常に大きいです!
客観的でなくても、筋の通った説明をすれば通じる場合がありますので、資料がないからといってあきらめないでください。
法人格消滅後の税務調査
清算結了登記が行われ法人格が消滅した後においても、税務調査が行われる場合があります。
清算結了登記は、その事実を公示する効力を有するのみであり、租税債務があるなど事実上清算結了していない法人は、清算結了登記がなされていたとしても、清算のために必要な範囲において存続すると解されています。
したがって、清算結了登記が終了した後においても税務調査が行われる場合があります。
税務調査の対応者は、その法人の清算人となります。
清算手続きに入る際、清算人を選任しますが、通常は今までの代表者がそのまま清算人になることが多いです。
清算結了後の調査があり得るので、会社に関係ない人を清算人に選任した場合、調査の対応は厳しいでしょう。
税務調査と情報公開
税務情報の開示については、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」に基づいて、その情報を保有している行政機関に対して開示請求をします。その回答に不服がある場合には、不服申し立て等をすることができます。
貴社の税務調査に関する情報は、税務職員の守秘義務により保護され、第三者はもとより、貴社の請求に対しても開示されることはありません。
税務調査に関する一般情報については、相当部分が開示されるようになりましたが、税務調査事務における正確な事実の把握を困難にするおそれ、または、違法もしくは不当な行為を容易にし、もしくはその発見を困難にするおそれがあるものは、不開示情報とされています。
現況調査
国税通則法が改正され、課税庁は、税務調査を行う場合には、あらかじめ納税義務者に事前通知をすることとされました。ただし、違法または不当な行為を容易にし、正確な課税標準または税額等の把握を困難にするおそれがあるなどがある場合には事前通知を要しないこととされています。
事前通知なしの調査、すなわち現況調査の事前対策としては、不正防止のチェック・管理体制を整備すること、現金管理、特に売上金の管理体制を整備することなどです。
当日の対応の留意点
- 調査理由を確認する
- 税理士の立会を求める
- 役員または責任者が対応する
- 経過を記録する
ちょっと怖い内容ですが、滅多にあるもんじゃないです!
私が聞いたことがあるのは、急激に成長(一気に上場するようなレベル)した会社について、現況調査がありました。
反面調査
反面調査は、納税者本人に対する調査だけでは不十分の場合で、取引先などの調査を実施しなければ適正な所得などを把握できないと認められる場合に行われます。
事前の対応としては、証拠資料の信憑性のチェック、欠落資料のチェックなど、チェックイステムを整備し、信頼できる必要十分な税務証拠資料を整理して保存し、調査時には、その内部保存資料の提示と説明により、調査官の疑問に明確に答えられるような体制を整えておくことであると思います。
日付と金額のない領収書に自分で記入したりしてませんか?
反面調査となれば、そのお店にも調査が入ります!
税法では、納税者と取引のある相手方に対して、質問検査権を行使できる旨を定めています。この質問検査権の行使は、反面調査と呼ばれています。反面調査の中には金融機関の調査も含まれますが、取引先の調査と金融機関の調査を区分して、一般には、取引先の調査を反面調査、金融機関の調査を銀行調査と呼んでいます。