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国民健康保険料の減額

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新型コロナの影響で収入が一定程度下がった場合、国民健康保険料や介護保険料、国民年金保険料などが減免されたり、支払いを猶予してもらうことができる。

 とくに恩恵が大きいのが働きながら年金をもらう世代だ。社会保険労務士の北山茂治氏が語る。

「働く年金受給世代は一般に税金より社会保険料の負担のほうが重い。新型コロナの影響で失業したり、自宅待機など休業を指示されて収入が減った人であれば、社会保険料の減免を申請することで家計の負担を減らすことができます」

 社会保険料がどのくらい下がるのだろうか。まず国民健康保険料のケースでみていこう。

 減免の対象は、主たる生計維持者の収入の減少が見込まれる場合で、

【1】事業収入などが前年の7割以下に下がる見込みの人
【2】年金など他の収入を合わせた前年の合計所得が1000万円以下
【3】減少が見込まれる事業収入等を除いたその他所得の合計額(前年)が400万円以下
 ――の3条件を満たす世帯だ。

 たとえば、年金をもらいながらパートなど非正規や業務請負フリーランス)で働き、年金以外に月10万円の収入を得ていた人の場合、休業や勤務時間が減らされるなどで月収が7万円以下に減ったケースは減免の対象になる。定年後雇用延長で会社員として働いていた人が新型コロナで失業した場合も同じだ。

 計算は複雑だが、働きながら年金をもらう場合、免除幅の目安は前年の合計所得(収入ではない)が300万円以下なら保険料が半分近く免除される可能性がある。一部免除された場合の保険料の支払い猶予期間は自治体で異なり、おおむね半年から1年程度となっている。

 申請方法は自治体によって多少の違いはあるが、窓口は市区町村役場の国民健康保険担当部署で、相談電話にかけると申請書類が自宅に送付され、必要書類を添えて郵送で申請するのが一般的だ。

 介護保険料や後期高齢者医療保険料にも同様の減免制度がある。(図参照)

納めなくても年金をもらえる

 自営業者や個人事業主などが加入する国民年金の保険料についても、免除申請の臨時特例手続きの受付が開始された。

 新型コロナの影響でサラリーマンが失業して国民年金に移ったり、自営業者が廃業・休業して今年の所得が一定以下に下がる見込みの場合に、年金保険料の減免や納付猶予を受けることができる制度だ。

 前年の所得によって保険料の「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」の免除や「納付猶予」が受けられる。

 手続きは申請書と新型コロナ対策用の「簡易な所得見込額の申立書」を記入して年金事務所か市区町村役場に郵送する。必要書類は年金事務所で受け取るか、日本年金機構のホームページからもダウンロード可能だ。臨時特例の対象は今年2~6月分の保険料で、7月以降は改めて申請する必要がある。

「この特例免除制度を利用した場合でも、保険料を全額免除された期間年金額は半額支給される。つまり、減免を受けながらでも将来の受給額は増えるし、免除期間の保険料は10年以内であれば追納もできる。新型コロナで収入が減って今年2月から保険料を払えていない人も、申請すると2月分の保険料までさかのぼって減免が適用されます」

 減免の申請をしなければ保険料滞納となってその期間の年金は未納として計算されるため、申請しないと損してしまうことになる。