粗利益率の高低によって打つ手は変わってくる
世の中には粗利益率の高い業種と低い業種があります。
会計事務所は粗利益率が100%、美容業で95%、飲食業で60~70%、中古車販売業は66%、小売業は30%ぐらい、卸売業は10%ぐらいと様々ですが、業種によって粗利益率はほぼ決まっています。
製造業や建設業は、製造原価の中から労務費と経費を抜いた材料費と外注加工費のみを変動費とします。
労務費と経費は、販売費および一般管理費と一緒に固定費とします。
製造業は、一般的な損益計算書の売上高総利益率が20%でも、この定義の粗利益率にすると50%くらいになることがよくあります。
未来会計図で、なぜこのように粗利益率を表現するようにしているかというと、儲ける方法をわかりやすくするためです。
戦略とは
- 商品、サービスを時代の流れによって変えること
- 順番
と定義し、この場合は順番のことです。
どこから先に手をつけるかということです。
粗利益率の高い業種では、まず最初に商品数・顧客数の戦略を考えるべきです。
粗利益率の低い業種では、価格・単価の戦略を考えるべきです。
自分の会社の業種の粗利益率が高ければ、客数を増やすことが儲けに直結します。
粗利益率が低いのであれば、付加価値の高い商品の販売や仕入れ値を下げるなどの工夫をして、客単価をまず上げるのが利益を確保するためには大切になるわけです。
どこに手を打てば利益が出るのか?
まず最初に利益を定義します。
利益とは社員とその家族を守るためのコストであり、事業存続のためのコストです。
必要なコストですから、必ず利益を出さなければなりません。
→税金を払いたくないから経費を作って利益を出さないという考えは、会社が成長しない(大きくならない)ため、社員を守れません。
利益は全社員の努力の結果といえます。
なので、社員が納得できる定義をしています。
そこで、月次決算においては未来会計図というものを用いて、『どこに手を打てば利益が出るか』を全社員がわかるようにして、その達成に向けて努力できるようにしております。(損益計算書ではわかりにくいので)
売上は客単価×客数の2つの要素に分けます。
売上原価には変動費(仕入、材料費、外注費)だけしか入れません。
売上高-変動費=粗利益額
この式から変動比率と粗利益率を計算します。
粗利益率がとても大事です!
月次決算書
とある地方銀行さんの行員向けの勉強会で講師の方が
『皆様の取引先のうち何割ぐらいが月次試算表を作っていますか?』
と質問したところ、半分くらいとういう答えが大半でした。
多くの中小企業経営者は、月次試算表も作らずに経営をしているわけです。
これは、羅針盤を持たずに航海するようなものです。
自分たちが1カ月間、一生懸命働いた結果を1日でもはやく知りたいとは思わないのでしょうか?
その数字を社員とともに共有し、次に打つ手の指標としたいと思わないのでしょうか?
しかし、一般的な月次試算表は、決算のための数字をまとめるもので、残念ながら中小企業の経営に役立つようには作られていません。
中小企業の経営に役立つように工夫し、作ったのが、当事務所の月次決算書です。
この月次決算書には2つの目的があります。
- 中小企業の全社員にお金の儲け方を理解してもらうこと。
- 社長、役員、幹部にお金の残し方を理解してもらうこと。
月次決算書の記事では、その内容を説明していきます。
経営計画書には会社のすべてが詰まっている
中小企業を元気にする一番の道具は、経営計画書です。
経営計画書には経営理念・経営方針を書き、会社が進むべき方向も示しています。
経営者が立てた戦略、戦術が正しかったのかどうかをチェックできるのは、経営計画書の中にある、利益計画による計画と実績の差のみです。
経営者のやることはすべて正解ですか?
戦略・戦術が間違っていたのなら認めるべきです。
そして起動修正すればいいんです。
だけど、その間違いに気づくためには進むべき方向が示されていなければ・・・。
経営計画書によって、社長が変わり、会社が変わります。
ひとりでも多くの経営者が、経営計画書を作って欲しいと願っています。
お客様別販売計画の立て方
『どのお客様から、いくらの売上高を稼がなければならないか』を計画するものです。
中小企業は、お客様別に粗利益まで計算できないのが現状なので、一般的には売上高目標だけを計画します。
- 過去2~3期の販売実績をABC分析により重要性の高い順に並べ、実績推移と傾向を見る。当期に必要な売上高をお客様ごとに大雑把に配分する。
- 当期で実際に予想される売上高を記入する。
- 必要売上高と実際の予想との差をどうやって埋めるか、対策を考える。
お客様別の販売計画が決まったら、それを月別に展開して完成です。
※季節変動などを加味するとより現実味を増します。
営業担当は毎月の計画と実績の差に注意を払いますが、経営者は常に累計の計画と実績の差のみに注意していくことが大切です。
経営者にとって累計で目標達成をしていれば、各月はどうでもよいからです。
単位は1,000円単位がおすすめです。
100万円単位だと、月の売上目標が0円になる可能性があるからです。
販売計画を作る
販売目標とする売上高には、現状の商品とお客様の数ではどうしてもたりないケースが多くなります。
この不足額をどうするか?
伸びる会社の社長さんは常にこの部分を考え、計画し、行動しています。
『誰が』『どこで』『何を』売るかを計画するのが販売計画です。
大別すると
- 商品販売計画
- お客様別販売計画
に分けられます。
販売計画を立てるにあたって、事業の形態は大事です。
どんな業種であれ、事業形態は2つかないそうです。(『社長業』産能大出版部より)
- 見込み事業・・・大儲けと大損が背中合わせで、不安定さが特徴の事業
- 受注事業・・・儲からないが、安定していることが特徴の事業
以上の2つ。
販売計画を立てる前に、自分の会社の事業がこの2つのどちらであるかを認識し、その特徴をつかむことが大切です。
利益計画検討表を計画する
利益計画を達成するための補助ツール → → → 利益計画検討表
固定費を一定とした場合に、目標に対して、売上高や粗利益率が増減した場合に経常利益がどのように増減するかシミュレートするものです。
この作業を繰り返すことによって、いかに目標売上を達成することがいかに大切なことなのかがわかります。
予算と実績の差異を知ることは大切です。
人間は目標があると、それに向かって努力する生き物。
会社を経営していくうえでも目標は大事です。
目標を高く見積もった場合と低く見積もった場合でどんな差があるのかを知っておくのも重要です。