相続税における調査対象の選定
調査対象の選定基準は、おおむね贈与税と同じです。
申告書、添付書類、保有不動産の資料、評価の算定資料、所得税の申告状況、銀行などへの照会文書の回答、その他の資料情報などにより、計算チェック、財産の評価、財産形成のトータルチェック、特例の適用の適否、資料情報などを検討して選定します。無申告者に関しては、被相続人に関して収集した資料情報などを検討して選定します。
相続税はいろいろなところから資料が集まってきて、それぞれが裏を取りやすい内容となっているため、事前に(税務署側が)重要資料を有しているのは珍しくないです。
贈与税における調査対象の選定
- 重要資料がある
- 贈与の事実を隠ぺいしている
- 財産評価に問題がある
- 支払能力に問題がある
- 特例の適用に問題がある
- 事実関係の確認の確認が必要
- 無申告
調査対象の選定方法・選定基準は、相続時精算課税制度を選択した受贈者の申告に関しても同様です。
所得税における調査対象
所得税の調査は、譲渡所得以外の事業所得などについては所轄税務署の個人課税部門の調査官あるいは特別調査官が担当します。
譲渡所得に関しては所轄税務署の資産課税部門の調査官あるいは特別調査官が担当します。
- 重要資料のあるもの
- 不正計算が見込まれるもの
- 事業数値に著しい変動のあるもの
- 営業規模の拡大
- 好況業種
- 更生の請求などがあったもの
- 無申告者
- 同業者との比較によるもの
- 取引先の不正に加担しているもの
- 特定業種
- 高額事業所得者
- 前回の調査実績によるもの
- 接触度の低いもの
- 連携調査の要請のあるもの
所得税の調査対象は上記の通りです。
11.高額所得者は納税を多額にしているにも関わらず、調査対象に列挙されているのは少しでも不正があれば高い税率で税金を徴収できるからですかね?
税が掲げている課税の公平とは一体なに?と考えさせられます。
新日本法規:Q&A税務調査対策の手引き1⃣より
消費税の調査対象
消費税の調査は、法人の場合は法人税と同時に、個人の場合は所得税と同時に行われることが多いです。
消費税は利益に対する税金ではないので、所得がマイナスで、法人税や所得税の納税がなかった場合でも、1つ1つの取引が調査対象となるため油断禁物です。
- 重要資料のあるもの
- 不正計算が見込まれるもの
- 経営数値に著しい変動のあるもの
- 同業者に対する調査結果の波及
- 新規に還付申告を行った事業者
- 継続的に還付申告を行っている事業者
- 長期未接触事業者
- 決算内容との照合によるもの
- 更生の請求があったもの
上記が調査の選考基準です。
ここ数年、還付の申告については明細書の添付をしているにもかかわらず、請求書の提出が求められたりします。
還付に関してはしっかりとした根拠を提示できないと戻ってこないという状況です。
*1:新日本法規:Q&A税務調査対策の手引き1⃣より
源泉所得税における調査対象
お給料を支払われている経営者は源泉所得税の納税もされているかと思います。
その源泉所得税についても調査はあります。
主に、法人の場合は法人税や消費税の調査と同時に、個人の場合は所得税や消費税の調査と同時に行われます。
- 重要資料のあるもの
- 不正計算が見込まれるもの
- 同業者に対する調査結果の波及
- 見納税額のあるもの
- 調査周期に該当するもの
- 市県民税関係の資料調査によるもの
- 外国人労働者(非居住者)を多数雇用しているはずなのに納付実績からその事実がうかがえないもの
- 決算項目の分析によるもの
- 収集した資料情報と、納付実績に差異があるもの
- 海外取引がある場合
- 現物給与
調査の選定基準は上記になります。
*1:新日本法規:Q&A税務調査対策の手引き1⃣より
調査対象②
前回の続き
第3グループに区分される法人は
- 過去の一定期間に不正を行った法人
- 取引先等の不正に加担した法人
- 暴力団関係法人
- 重点調査業種に指定された業種に属する法人
となっております。
これらの法人は3年周期での深度ある調査が行われていると考えられます。
調査の周期はどれぐらいですか???
第3グループに区分されないためには
- 申告に不正行為がないこと
- 経営者等の申告についても不正がないこと
- 過去の税務調査により①・②が認識されていること
上記が大前提となります。
そのため
- 管理体制を整備し、日々の会計的事実を正確に処理し、証拠資料を整理して管理しておくこと。
- 法人と個人(代表者やその親族)の取引がある場合には、客観的な合理性のある内容で契約し、公私混同のないようにしておくこと。
- 決算書については、比較分析などにより異常項目につき理由を解明しておくこと。
- 関与税理士がある場合には、その税理士の能力を十分に活用し、税務調査に耐え得る体制を整えておくこと。
調査に対応するために商売をしているわけではないので、ここをメインに考えるのは無駄な時間だと思います。
4.の関与税理士の存在は重要になってくるのではないでしょうか?
*1:新日本法規:Q&A税務調査対策の手引き1⃣より